今、「大切な愛犬の去勢手術」について、どのような疑問や不安を抱えていますか?
- 本当にうちの子に去勢手術は必要なのかな?
- もし手術するとしたら、いつが一番いいの?
- 去勢手術って費用はいくらくらいかかるんだろう?
- 手術って安全?リスクはないの?
- 去勢すると性格が変わってしまうのかな?
- 手術するのはかわいそうじゃないかな……
犬の去勢手術は、これからの長い暮らしを考えるうえで、心から愛犬のことを大切にしたいと考えている飼い主様にとって、とても悩ましい選択のひとつです。
だからこそ、納得いくまでしっかり情報を集めたい。そうお考えではないでしょうか。
この記事では、今まさに愛犬の去勢手術について真剣に検討し、さまざまな疑問や不安を抱えている方に向けて、犬の去勢手術に関する情報の全体像を把握していただくことを目指して、オス犬の去勢手術について、2024年までに発表された研究論文なども参考にしながら、できるだけ網羅的に解説していきます。
ただ、この記事で一番お伝えしたいことを先にひとつだけお伝えします。
「どんなオス犬でも、生後6か月から1歳くらいまでに去勢手術をしたほうがいい」という考え方は、近年の研究では見直したほうがよいという報告が増えており、犬種ごとに適した手術時期は異なることが分かってきています。
ちなみに今回、ドッグトレーナーである私が犬の去勢手術について解説するのには理由があります。
それは、近年の知見では犬種ごとに手術を行う適切な時期は異なり、時期を誤ることで関節疾患や複数のがんの発症率が上がる可能性や、性格面への影響が示唆されているにもかかわらず、その点について十分な説明を受けないまま判断し、後悔している飼い主様をこれまで多く見てきたためです。
ドッグオーナーアカデミーについては、プロフィールページもご確認ください。
この記事では、主に次のような内容を扱います。
- 犬の去勢手術とは?
- メリット・デメリットの比較
- 愛犬にとって適した時期の考え方
- 去勢後の性格や体への変化
- 手術費用の目安
- 手術当日の流れ
- 術後ケアと注意点
あなたの愛犬にとって納得できる判断をするためのきっかけとして、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
なお、気になっていることについて記事内で十分に触れられていない場合は、コメントで教えてください。
犬の去勢手術とは?
簡単に言うと、犬の生殖能力をなくすための手術です。
オス犬の場合は、陰嚢内の精巣を摘出する手術を指します。これにより、精子を作る能力がなくなり、男性ホルモンの分泌も抑制されます。
犬の去勢手術は、繁殖を防ぐだけでなく、後述するさまざまな病気の予防や、一部の問題行動の軽減につながると考えられています。
一方で、手術を行う年齢や犬種によっては、健康リスクや性格の変化に関する注意点もあることが、近年では報告されています。
犬の去勢手術を行うメリット
去勢手術には、愛犬と飼い主様の両方にとって、さまざまなメリットがあります。
特定の病気のリスク低減
オス犬の場合、精巣腫瘍や前立腺肥大、肛門周囲腺腫などの発生リスクを大幅に下げることができます。
問題行動の改善・軽減
男性ホルモンの影響によるマーキング行動、マウンティング行動、攻撃性、遠吠え、脱走・徘徊といった行動が、改善または軽減される可能性があります。
望まない妊娠の防止
散歩中やドッグランなどで、予期せぬ交配によって望まない妊娠をさせてしまうリスクを防ぐことができます。
犬の去勢手術を行うデメリット
一方で、去勢手術には注意すべき点もあります。
全身麻酔のリスク
手術は全身麻酔下で行われるため、麻酔によるリスクがゼロではありません。健康状態や年齢によっては、リスクが高まる場合もあります。
手術中の出血
手術中に血管を損傷し、出血するリスクがあります。
感染
手術部位から細菌が侵入し、感染を起こす可能性があります。
縫合不全
傷口の縫合がうまくいかず、傷が開いてしまう可能性があります。
腫れや内出血
手術部位が一時的に腫れたり、内出血を起こしたりすることがあります。
手術費用がかかる
去勢手術には費用がかかり、金額は動物病院によって異なります。
太りやすくなる可能性
ホルモンバランスの変化により代謝が落ち、太りやすくなる可能性があります。犬にとって肥満は多くの病気と関係しているため、食事量や運動量の管理が大切です。
特定の病気のリスクが上がる可能性
メリットのところで紹介した病気の予防が期待できる一方、2000年頃からの研究では、犬種によっては生後6か月頃の手術が別のがんや関節疾患の発生率を上げる可能性があることも示されています。
そのため、「どんな犬種でも、生後6か月になったら去勢手術をする」という一律の考え方は、愛犬の健康リスクを上げてしまう可能性があります。
性格や行動の変化
ホルモンに関係している行動の改善が期待できる反面、去勢手術をしたことで神経質になったり、攻撃性が高まったという研究結果もあります。
犬の去勢手術によるメリット・デメリットや、術後の変化についてさらに詳しく知りたい方に向けて、以下の記事もこれから作成予定です。
→ 【詳細解説】犬の去勢手術のメリットやデメリットとは?健康リスクや術後の性格や行動の変化について
犬の去勢手術の適齢期は?
愛犬に去勢手術を行う時期は、犬種や個体差によって異なりますが、一般的には生後6か月齢から1歳齢くらいまでの、性成熟を迎える前に行われることが多いです。
その理由としては、性成熟を迎える前に手術を行うことで、ホルモンの影響による問題行動の定着を防いだり、特定の病気のリスクをより効果的に低減できると考えられてきたためです。
しかし、冒頭でもお伝えした通り、近年の研究では、生後6か月齢から1歳齢くらいまでに行う手術のタイミングが、犬種によっては健康リスクや性格変化、攻撃性のリスクを高める可能性があるという報告があります。
そして、それらの研究では、犬種ごとに去勢手術の適齢期は異なるため、現在分かっている犬種別のガイドラインを参考にしながら、愛犬の個性や状況に合わせて判断する必要があると示されています。
犬の去勢手術の時期についてもっと詳しく知りたい方に向けて、以下の記事も今後作成予定です。
→ 犬の去勢手術、ベストな時期はいつ?適齢期やさまざまなリスクを解説
犬の去勢手術にかかる費用の目安
去勢手術にかかる費用は、動物病院や犬の体重、大きさなどによって大きく異なるようです。
私が調べた限りでは、目安として次のような範囲が多いようでした。
- 小型犬:2万円〜4万円
- 中型犬:3万円〜5万円
- 大型犬:4万円〜6万円程度
ただし、これはあくまで目安です。実際に手術をする際は、必ず動物病院に確認してください。
また、ペット保険に加入していても、去勢手術は補償対象外となることが多いようです。
手術当日の簡単な流れ
去勢手術は、一般的に日帰りまたは1泊程度の入院で行われます。
当日の流れは、おおむね次のようになります。
術前検査
必要に応じて、全身麻酔に耐えられるかどうかの健康チェックとして、血液検査やレントゲン検査などが行われます。
絶食・絶水
麻酔時の嘔吐による誤嚥を防ぐため、絶食が必要です。病院の指示に従って準備を行います。
手術
手術日は相談のうえで日程を決め、予約を取り、当日の朝に愛犬を預けて手術が行われます。手術時間は犬の状態にもよりますが、一般的にはそれほど長くないことが多いです。
麻酔からの回復
手術後は麻酔から覚めるまで病院スタッフが見守り、状態によって日帰りか1泊かが決まります。
お迎え
獣医師から術後の注意点などの説明を受けたうえで、自宅へ連れて帰ります。
術後の基本的なケアと注意点
手術後のケアは、傷口の回復と合併症予防のためにとても重要です。
傷口を舐めさせない
傷口を舐めると、感染や傷口の再開の原因になることがあります。エリザベスカラーや術後服などで保護しましょう。
安静にさせる
激しい運動は傷口に負担をかけ、回復を遅らせる原因になります。散歩の再開時期は獣医師に相談し、静かに過ごせる環境を整えましょう。
食事の管理
術後は食欲が落ちることもありますが、指示された量とタイミングで食事を与えましょう。食べない、嘔吐するなどの異常があれば、動物病院に相談してください。
傷口のチェック
毎日傷口を確認し、腫れ、赤み、分泌物などの異常がないかチェックしましょう。
抜糸
抜糸不要の縫合糸を使う場合もありますが、抜糸が必要な場合は7〜14日程度で行われることが多いです。具体的な日数は犬の状態によって異なるため、動物病院に確認しましょう。
まとめ
犬の去勢手術は、病気の予防や一部の行動改善などのメリットがある一方で、さまざまな考慮すべき点もあります。
愛犬が去勢手術を受けるかどうかは、健康状態、年齢、性格、ライフスタイル、そして最新の情報などを総合的に考慮し、メリットとデメリットを十分に理解したうえで判断することがとても重要です。
個別に状況を整理したい方へ
去勢手術をするかどうか、また時期をどう考えるかは、犬種・年齢・体格・生活環境によって見方が変わります。
うちの子の場合はどう考えればよいかを整理したい方は、オンライン相談をご利用ください。
事前フォームと動画をもとに、今の状況を整理しながら、愛犬に合う考え方や進め方を一緒に確認していきます。
自分で学びを深めたい方へ
まずは自分のペースで、犬の行動・食事・健康について学びを深めたい方は、ドッグオーナーライブラリーもご利用いただけます。
動画で知識を整理しながら、日常で役立つ内容を少しずつ学べる補助コンテンツです。
この記事が、あなたの愛犬の去勢手術について考えるうえで、少しでも役に立てば幸いです。
さらに詳しく知りたい方に向けて、以下の記事も執筆予定です。読める記事は淡いアプリコット色になる予定ですので、しばらくお待ちください。
- 【詳細解説】犬の去勢手術のメリットやデメリットとは?
- 犬の去勢後の性格や体型の変化や健康リスクなど、術後の変化について知っておきたいこと
- 犬の去勢手術、ベストな時期はいつ?適齢期や遅らせるリスクを解説
- 犬の去勢手術後のケア方法と気を付けるべきこと
*この記事は情報提供を目的としており、個々の愛犬の健康状態に関する診断や治療の代わりになるものではありません。
参考文献
- Assisting Decision-Making on Age of Neutering for 35 Breeds of Dogs: Associated Joint Disorders, Cancers, and Urinary Incontinence
- Assisting decision-making on age of neutering for German Short/Wirehaired Pointer, Mastiff, Newfoundland, Rhodesian Ridgeback, Siberian Husky: associated joint disorders, cancers, and urinary incontinence
- Assisting Decision-Making on Age of Neutering for Mixed Breed Dogs of Five Weight Categories: Associated Joint Disorders and Cancers
- Vasectomy and ovary-sparing spay in dogs: comparison of health and behavior outcomes with gonadectomized and sexually intact dogs
